スマリヤンの究極の論理パズル


OAZOにて購入。

著者はレイモンド・スマリヤン。翻訳は長尾確・長尾加寿恵。

スマリヤンは有名な数学者であり、マジシャンでもあります。マーチンガードナーもそうですが、数学者というのはどうしてこうもマジックが好きなんでしょうね?なんか相通じるものがあるのでしょうか?

さて、この本の原題は

「The Riddle of Scheherazade」

と言います。直訳すれば、

「シェヘラザーデの難題」

でしょうか。

この本はエドガー・アラン・ポーのシェヘラザーデの千二夜の物語の続編ということで千三夜目からの話が書かれています。ポーの物語は当然千一夜物語(アラビアンナイト)の続編です。私はこのポーの本を読んだことがないのですが、このスマリヤンの本の解説によると

「・・・・東洋に関するある調査のなかで、"Tellmenow Isitsoornot"という著作を調べる機会があった。それによると千一夜物語の最後の大団円は完全に間違っているわけではないにしても、その後の話まで書かれていなかった。・・・(中略)・・・しかし私がそこに発見したことの概要だけは説明させてほしい。」

まぁなんちゅうか「Tellmenow Isitsoornot」という、いかにもふざけたタイトルの本が出てくるあたりからして、いかにもふざけた本ですが、スマリヤンのこの本ではさらにおふざけが進み"Tellmenow Isitsoornot批判"という本を見つけ、その千三夜以降に極めて興味深い数理パズルが書いてあったということになっており、話が展開していきます。

数学者の著作というものは他の作品をモチーフとしたジョーク作品が多いですね。これも不思議と言えば不思議です。

さて私はまだ千六夜までしか読んでませんが、その中であった確率の問題をひとつ。シャヘラザートが王に語ります。

「では私の好きなパズルであり、大きな論争を引き起こしたものを紹介します。私が王様にA、B、Cというラベルが貼られた3つの箱をお見せいたしたとします。それらの1つに賞品が入っており、ほかの2つは空です。どの箱に商品が入っているのか、私は知っていますが、王様はご存じありません。

王様がでたらめに箱を1つ、例えば箱Aを選びます。しかし、王様が箱を開ける前に、残った二つの箱のうち、私が空であることを知っている箱を、例えば箱Bを開け、それが空であることを王様にお見せします。ここで王様は箱Aの中身を取るか、箱Aを箱Cと交換するか、どちらかをお選びになれます。

交換したほうが有利でしょうか?

「いや違う。おまえが、余に空の箱を見せる前は、賞品が箱Aに入っている確率は1/3だった。だが、箱Bは空だ、という情報が加わると、箱Aに賞品が入っている確率と箱Cに入っている確率は等しくなる。よって、余が交換しようと、しまいと同じことだ。

王様の考えは正しいか?

解答はこう。

王様が賞品を当てる確率は1/3である。それは王様が選んだ後、箱を開けようが開けまいが、変わらない。すなわち、箱をBを開けてはずれ箱であることがわかっても、王様の箱が当たりやすくなることはない。

ところが、箱Bはもう当たらないことが分かっている。したがってこの時点で残った箱Cが当たる確率は2/3である。したがって交換したほうが特である。

直感的に納得できませんが、冷静に考えると、その通りです。

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コメント一覧

箱Bが当たらないことがわかっても王様が賞品を当てる確率が
1/3のまま変化しないとするなら、箱Cが当たる確率も変化しないと
考えるのが妥当だと想うのは素人でしょうか。

この場合、箱Bが当たる確率も、当たらないことがわかったあとも
1/3のままなんですがね。

Commented by snowdrop at 2005-07-24 22:09:28

はい。それは間違いです。確率の総和は常に1です。そしてBが当たる確率は0です。だからCの当たる確率は間違いなく2/3です。

このことを直感的に理解をするには箱が大量に(例えば1万個)あると考えればよいようです。

王様が選んだあと、シェヘラザーデは箱を1つ1つ開けて行きます。
そして9998個開けたあと王様にこう言います。

交換しますか?しませんか?

王様の箱が当たる確率は1/10000。残った箱の当たる確率は9999/10000です。

交換したほうが特ですね。

Commented by Issei at 2005-07-24 23:05:06

多分、納得がいかないのはBの確率が0に遷移すること。

要は、サイコロを振って1が出る確率が、
サイコロを振って5が出たからといって
「そのときサイコロを振って1が出る確率が0だった」と
言われても納得いかんと。

ハズレであることが分かった後に確率が推移しては「総和が1である」という理論が崩れて当然で、
そのつじつまを合わせるために、それを王様の箱でないほうに確率を割り当てる、
という未知のルールがいきなり出てきていると感じます。
王様の箱でない方の箱の確率が1/3のままにして、
王様の箱を2/3にしてはいけないのだろうか、という疑問が解消できません。

私にとっては、他の箱が一億個だろうが、一京個だろうと、直感に訴えないのかも。

いや、王様の箱が当たる確率が「どんなことがあっても絶対変わらない」という定義があるなら納得しますけど。

Commented by snowdrop at 2005-07-24 23:28:02

ちなみに、最後にどうしても理解できないのであれば、実験してみればわかる。と書いてました。

箱で賭けをするなら喜んで受けると筆者は言ってます。

詐欺師は確実に勝つギャンブルをしてきます。ギャンブルはホドホドに。

Commented by Issei at 2005-07-25 00:05:15

補足)
たぶんひっかかっているのは、途中の段階段階における確率と、最初から見てみた場合の通しの確率をごっちゃにしているからです。あと彼女はどこにアタリがあるかを知っているというのがミソなのです。

何故王様はチェンジをしたほうが特なのでしょうか?

シェヘラザードが当たりがどこにあるかを知らなかったとしましょう。彼女はアタリがどれか分からずに箱を1つ選択します。

そうすると彼女の選んだ箱が当たりである確率は1/3で、外れる確率は2/3です。(彼女の出来ることは2択ですが、計算をすればこの確率が1/3であることはすぐわかります)

もちろんCの箱が当たりである確率も1/3です。

ここで彼女は箱を開けます。

彼女の開けた箱が当たりでなければ、この時点で王様の箱が当たる確率は1/2、残った箱が当たる確率が1/2になります。ここで王様は箱をチェンジしても当たる確率は変化しません。

当たりが入っていれば、王様の箱が当たる確率は0に、残った箱が当たる確率も0になります。もはや当たりは彼女の箱にあることがわかっていますが、ゲームを続けるとすれば、王様はここで箱をチェンジしてもしなくても当たる確率は変化しません。(もう当たりませんが)

したがって、シェヘラザードがどれが当たりかを知らずに箱を開けるのなら、チェンジは確率的には意味のない行為です。

では、王様はどこで損をしたのでしょうか?

この場合シェヘラザードは「確実に外れを引く」ことができるというのがミソです。何故なら彼女はどこに当たりがあるのかを知っており、王様が何を選んでも必ずハズレをひけるのです。

もし王様がハズレを引いているのならシェヘラザードは確実にハズレの箱を開けます。この時点で残った箱が当たりである確率が少しだけ上がるのです。

王様がハズレを引く可能性が2/3です。したがって、この時点で、彼女が正しく箱を1つ開いて除去できるとすると、残った箱は確実にアタリです。

王様がアタリを引いたなら、シェヘラザードはやはりハズレの箱を開けることができます。(どちらを開けてもいい)この場合残りの箱は確実にハズレです。

したがって王様がどの箱を選択したかで最後に残る箱がアタリかどうかの確率は決まります。

それは、王様がハズレを引く確率と一緒で、2/3になるというわけです。








Commented by Issei at 2005-07-25 01:11:10

この問題は一般に「モンティホール・ジレンマ」と呼ばれてますので、
興味のある方はぐぐってみればよろしいかと。

Commented by Argrath at 2005-07-25 04:29:17

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