1999年12月24日

クリスマスということで、朝日新聞青森版に戸来(へらい)のキリストの墓伝説のことが載っていた。

ゴルゴダの墓で処刑されたのはキリストではなく弟のイスキリで、キリストは難を逃れ、青森県は戸来村(現在の新郷村)までやってきて死んだという伝説があるというのは知っている人も多いだろう。

この伝説、いかにも遥か昔からあるように語りつがれており、その本質がすっかり隠されているのだが、実は昭和の初期に竹内巨麿という人物がこの地を訪れ「解読した古文書によるとここにキリストの墓がある」とやってきたことに由来する。

竹内文書は知るひとぞ知る、トンデモ本。しかし、そのミステリアスさが話題を呼び、マスコミでも報じられ、いつのまにか、さも正史であるかのように報じられてしまった。ところが、この竹内文書。実際読んでみるとかなり胡散くさい。

というのも、古文書のわりに、現代になって使われる用語が頻繁に出ており、どう考えても偽作としか思えない。なんでこんなものが広まるのか?マスコミの力である。実は、この手の文章は他にも多数あり、大抵はマスコミに取りあげられたところから一人歩きをしている。TVで報道されたり、新聞に書かれると、本当っぽく思えてしまうのだ。そして伝説が何年も前から、さもあるように伝わる。まったくもってバカバカしい。

こういうのがあると真面目に考古学を研究している人がかわいそうだ。いくら村起こしとはいえ、新郷村もそろそろ宣伝するのやめたらどうだろう。結局、竹内巨麿に素朴な村民が騙されただけとしか思えない。

余談だが、漫画家「あさりよしとお」の「がんまサイエンス」(同氏の著書「まんがサイエンス」のパロディ)に出てくる、竹内博士の代表作が竹内文書というのには笑った。(笑)

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