1999年11月16日

最近シュレディンガーの猫の話をなんとなく思い出した。生きている猫は死んでいるという有名な量子力学のパラドックスだが、現代版では、生きているミイラは死んでいると言ったところか。(笑)

と、これだけではシュレディンガーさんに失礼なので、説明を補足。

図のような切れ目が2つ空いているスリットの奥にスクリーンを置くとスクリーン上には縞々の干渉模様が表われる。この干渉が起きる理由は、波動説なら簡単に説明可能だし、高校レベルの物理で習うはずだ。当然スリットの片方を閉じると模様は現われない。

じゃ、粒子説ならどうなのか?片方のスリットを閉じた場合は簡単に説明できる。が、両方のスリットを開けた瞬間理論が破綻する。なにしろ、スリットを二つあけた瞬間、光子が到達できない場所が突如現われるからである。

しかし、彼らは上手い説明を考えた。確率振幅というものを使うやり方である。 光子が上を通ってスクリーンのとある点pに到達する確率をw(p)、下を通ってスクリーンのとある点pに到達する確率をz(p)とすれば、Pに到達する確率は

w(p) + z(p)
である。w と zは複素数なので、その大きさは
|w(p) + z(p)| = |w(p)| + |z(p)| + 2|w(p)||z(p)|cosθ
となり何故かθが登場し、スリットが二個ある場合でも縞模様がちゃんと表示されるのである。経路に可能性が複数ある場合は何故か到達できない場所があることも上手く説明できる。

では実際に光子はどちらを通ってきたのか?それを知らべるために、スリットの後に検知機を置いたらどうなるのか?ということを考える。この場合は、縞模様が無くなるのである。

例えば上のスリットの後に検知機を置き、通ったらガリッという音を出す。もし音が鳴ったら、光子は下のスリットを通ったことになる。

下のスリットを通ったということが判るため、確率 wが0になるためスクリーンには縞模様が現われない。もっと判りやすい例えだと、どちらを通るのかを知らべるという観測行為が系に影響を与えてしまうため、縞模様が現われないということになる。

続く予定。なお、あまり深く考えないように。受け売りだから。

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