地球へ・・・

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<真うかつエピソード2630>
 もう26年も前に製作された竹宮恵子の漫画が原作のアニメ映画です。当時オイラは小学生で、他の映画(たしかサイボーグ009超銀河伝説だったと思う)を見に行った時、映画館で予告がガンガン流れていて気にはなっていたのですが原作ともどもこれまで未見。で、数日前に深夜にCSのチャンネルNECOでやってたので、観てみました。以下ネタバレバリバリの感想。

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 まずは軽くストーリーを紹介。

 -舞台は遠い未来。多くの人類は環境汚染等による破壊で人が住めなくなった地球から離れ、復活した地球に戻ることを夢見つつ、遠く離れた移民星での生活を強いられています。また、全ての人間は全て「マザー」と呼ばれるコンピューターの徹底的な管理下に置かれ、出産は試験管ベビーのみによる誕生、以降は保育士により育成、14歳時に「成人検査」という、言わば社会に適合できるかどうかのテストを受けます。この時、稀に超能力を持つ「ミュウ」と呼ばれる人間だと判断さる事があり、その場合人類の敵として選別・教化等で徹底的に排除されますが、その中で運良く逃れた者は、小さなコミュニティーを形成し、細々と地下生活を送っているのでありました。
 主人公ジョミーはそんなミュウの一人で、やがてミュウたちのリーダーとなり、平穏な生活をを望みつつもやがて人類との戦争に明け暮れていきます・・・-

 要するに人類対超人類の存亡をかけた戦いが軸のSFですね。この設定は今となってはすっかり手垢がつきましたが、映画公開当時はまだまだSF漫画が珍しかったこともあり、斬新とは言わないまでもそれほど古びてはいない話ではありました。
 ただ今作のように、SFを映画にした場合原作が壮大であればあるほど、特殊な設定が増えるため、話が分かりづらくなるという欠点が発生します。漫画や小説の場合「読み返す」とか「行間を読む」といった手間をかければいいだけの話ですが、映画の場合は一方的に話がどんどん流れていきますんで、そういうことを反芻する余裕はありません。ワタクシ結構細かいことを気にするタイプなので、「この一件はどのような事象により引き起こされ、如何なる手段で解決したのか」といった疑問が次々と湧きつつも場面が移ってしまうので、釈然としないままストーリーだけがどんどん進行。今ひとつ登場人物にも感情移入しづらい状況が続きます。

 感情移入しづらいといえば、声優のクオリティーがまた問題です。この映画では本職の声優ではない俳優が殆どのメインキャラの声を当てているんですが、そのうち一部の俳優の演技がかなりの大根なんですよねぇ。不幸中の幸いとしてメインの二名(井上純一と沖雅也)は中々上手でしたが。

 というわけで、どうにも途中で退席したくなるような内容の映画ではありますが、「人類とミュウが何故不毛な戦いを繰り広げているのか」という最大の謎の落ちが気になってので視聴続行。この謎のキモはこうです。

1.ミュウは人類の敵であり、徹底的に排除するように「マザー」に義務付けられている
2.ミュウは成人検査の時点で発生し、この検査が無ければミュウは発生しない
3.にもかかわらずマザーは毎年全ての14歳児に成人検査を義務付け、結果的に年々ミュウの数は増えている

 つまり、マザーはほっとけば自然発生しないミュウをわざと発生させ、しかもその対立を煽り、争いを継続させることを望んでいるワケです。で、この謎のオチは最後の最後でようやく明かされるのですが、その流れはこんな感じ。

 -ミュウの徹底的な抗戦に合い、次第に劣勢に転じる人類。ついに地球側のリーダー・キースはミュウのリーダー・ジョミーとの停戦交渉を決断、マザーの前で会見します。マザーはジョミーによって破壊されますが、最後の能力を振り絞ってキースを操り、ジョミーに致命傷を与えます。その後我に返ったキースによりマザーは今度こそ完全に破壊されますが、その直後地球上のそこここで大爆発が起き、二人とも地下に落下します。
 そこにあったのは、「マザーが破壊された場合にのみ起動する『地球の意思を代弁するコンピューター』」で、何故マザーがこの対立を指示していたのかを語ります。人類の過ちにより人が住めなくなった環境に陥った地球を再生するため、コンピューターによる徹底的な管理社会を作ったはいいが、イマイチこのシステムに自信が無かったため、敢えて敵対勢力を設定し、生き残った方に地球の命運を託すことにした、と。最後に「意思」はキースにこう質問します。「ところでどちらが勝った?」-

 ・・・待つだけ待って出たオチがコレかい_| ̄|○。

 大体この質問には大きな矛盾があるじゃないですか。「地球の意思」が起動するのは「マザー」が破壊された場合のみ。先の理論によると毎年ミュウは生み出され続けるわけで、マザーが存続する限り「人類側の勝利」などあり得ないのです。仮に人類がマザーの抑圧に反抗して破壊されたのだとしても、それはミュウと人類の勝敗にケリがついた結果ではありません。こんな奴のおかげで長い間不毛な戦いが強いられていたのかと思うと、キースも非常にやりきれない気分になったことでしょう。オイラもだけど。
Posted by Haruko

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