泡坂妻夫さん逝く

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<真うかつエピソード3561>
 享年75歳。ご冥福をお祈りします。

 本格推理小説作家である氏の代表作の一つ、「亜愛一郎」シリーズに出会ったのはたかだか10年前で、版も既に4刷を数える頃でした。舞台が昭和だったもので、時代設定としてはかなり古めになっていましたが、それでもムチャクチャ面白い珠玉の短編ミステリー集であることは間違いありません。

 まず主人公及びタイトルからしてイカしています。亜愛一郎。ひらがなに直すと「あ・あいいちろう」。これもう明らかにアイウエオ順で書店に並んだ時に目に付くように意図して付けられたタイトルです。
 この主人公「亜」さんがまたイカしたキャラで、職業はカメラン助手。見た目は二枚目俳優と勘違いされるほどの美貌の持ち主でありながら、一歩歩けば何かに躓いてすっ転ぶようなおっちょこちょいだし、動きもとろい昼行灯。しかし天性の閃きと推理力はまたピカイチというギャップの激しい実にキャラの立った人物です。
 「亜」シリーズはミステリーとしての完成度が高いのは勿論のこと、毎回「犬を連れた婦人」や謎のキーワード「トレミー」等、お約束の場面を用意しているなど仕掛けも非常に上手いです。
 特に短編ミステリー好きの方にはお薦めなので、未読の方は是非ご一読を!

 追記。お亡くなりになって初めて気づいたのですが、泡坂さんの本名は、「厚川昌男」。ペンネームからして既にアナグラムという仕掛けがあったのですね。本当に惜しい方を亡くしたものです。

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<本日のアウトドアJIS コード:90de 「窃」>
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撮影地:東京都・大田区
備考:うむ、窃盗は犯罪です。
Posted by Haruko

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