ひとめあなたに...

<真うかつエピソード4964>
 昨日はマヤの予言かなんかで地球が滅びる日の予定だった模様ですが、無事に過ぎましたなぁ。何よりです。

 ところでマヤの予言に限らず「終末の日」ってのは昔からフィクションによく取り上げられる題材で、ノストラダムスが流行ったころには北斗の拳やらゴッドマーズやら1999年地球が滅ぶ題材のネタが随分と作られましたっけ。

 で、ようやく本題に入りますが、「終末の日」テーマで思い出すのがこの一冊。新井素子の「ひとめあなたに...」。現在手元に本が無いので、以下内容うろ覚えで書きますが、巨大隕石が地球に当たって滅亡する事が決定事項の数日前、最後の日をどう生きるかを複数の女性視点から描いたオムニバス形式の小説です。

 語り手である主人公の20歳ぐらいの女の子は、交通機関が止まって状況がよろしくない中、遠くに住む別れた彼氏に会いに行きます。そんな中途中ですれ違う女性陣も、これが最期とわかっていながら独特な過ごし方をしています。

 唯一の友達が転校し、クラスで孤立したいじめられっこの小学生はぬいぐるみかかえて完全現実逃避、次女に比べてないがしろにされて育ち「成績がいい」ことだけが存在意義だった女子高生は普段と同じように受験勉強。とまぁこの時点でもそれぞれヘビーな特殊事情を抱えた女子ですが、極めつけは、旦那に本命の浮気相手がいると知りつつ、黙認しておままごとのような新婚生活を送ってきた若妻です。夫が、終末の日を自分とではなく、浮気相手と一緒に過ごすと決めた彼女がとった行動は?

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 旦那を殺して彼の体でスープを作り始めるんですねぇ。ようするに愛人のとこに行かせるぐらいだったら、いっそ食っちゃって一緒になろうと。いやはや女の情念すさまじ。

 まぁしかし何がオドロキってここまでのカリバニズム入りヘビーかつ濃い物語を新井女史、大学在学中の21歳の時に書き上げてるんだからオドロキです。これ書くまではジュニア向けのライトSFが主流だっただけに、当時の読者のオドロキ(オイラ含む)は結構な衝撃を受けたもんです。文体がいつものライトな口語風だったのが逆に何とも・・・。

 ところでこの作品、時代によって複数の出版社から出版され、現在でも購入可能なんですが、

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表紙のテイストが全然違う(^^;

 左:創元SF文庫、中:角川文庫、右:Futaba novels。現在一番手にはいりやすいのは創元SF文庫版。オイラが読んだオリジナルは角川文庫版ですが、この表紙からは内容想像もつかないよなぁ(^^;。双葉版はこれはこれでちょっと購買意欲が失せる表紙だが。

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<本日のアウトドアJIS コード:8e94「飼」>
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撮影地:北海道・札幌市
備考:大分前に設置されたのが、チョイと痛みがきている案内板。



Posted by Haruko

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