順序と数えるということ

順序ってのは当たり前のように感じてるけど実はすごいフシギなものなんですよ。

子供が沢山いたとして、そこから一人連れてきます。その子供に「1」という札をつけます。

次にもう一人つれてきてその子供に「2」という札をつけます。

これは子供がいなくなるまで続けることができて、最後の一人の子供に「10」という札が仮についたとすれば、この子供の集まりは10である。といえるわけです。これが10の性質。

一方帽子の集まりがあって、ひとつとって「1」、もうひとつとって「2」とつけていって最後の帽子に「10」という札がつけばこの帽子の集まりもやっぱり10という性質をもつ。

子供も帽子も全然違うものなのに、どちらも同じ10という性質があるわけ。

ここでもし子供が帽子を一つづつ被ったら、帽子は各子供にいきわたり、帽子がない子供もいないわけです。

過不足なくいきわたるのはどちらも10という性質をもっているから。

当たり前だけど、とても重要な概念です。

こんなふうにモノには順序というのをつけていけるんですよ。そして「順序=数える」という対応ができるんです。子供のころは指を折りながらモノと指を対応させて順序をつけながら数えていたのに、大人になっちゃうとそいういう概念がなくなっちゃうんですよね。

暗黙のうちに「順序」と「数字という記号」を対応させちゃっている。
こんなふうに、いつのまにか抽象的な考え方をするようになっているんです。
そうやって大人になっていくんですねぇ・・・

ここで、次のような問題を考えます。

5人の子供と5人の子供がいたら帽子は何個必要か?

答えは5+5=10であるのは自明だけど、順序というしちめんどくさい言い回しをすれば

1)子供をひとまとめのグループにしちゃいます。
2)グループから一人づつ子供をつれてきて、札をつけていきます。
3)札は「10」までつきます。
4)帽子も同じく「10」まで札をつけれるだけあれば足りるでしょう。

みたいな感じになります。

ポイントはどこでも足し算という概念がないこと。
順番に一人づつつれてくれば、そこまで番号がつくということ。

これすなわち、子供がよくやるように、最初指を2本折って、次に3本折って、結果5本になるのと同じことです。

しかし毎回そんなことを考えていたのではめんどくさい。

そこで順序→数→足し算 みたいな算数というのを考え、そこでは5+5=10であるとされるわけです。

つまり、まず足し算ありきではなく、順序というのを考えると、自然とそういう演算が便利であるという結論になるわけ。

でもって順序というものが存在するのは、とっても自然なように見える。

そういうのはもう公然のこととして仮定してそこから出発しちゃいましょう、といのが数学の公理ってものになります。

実際この文章で言ってる集まりってのは数学では集合と言われるんですが、集合というのは現在では数学の基礎となっています。

高校・大学でも集合論ってあんまやらないんですよねぇ。とても大事なのにザンネンです。

さて、ここまでは何が面白いのかさっぱりわからんでしょう。w 面白くなるのは、この集まりというのを無限個としてから。 というのも、どんな順序にもその次というのがあり、順序というのはどこまでも定義できる・・・様な気がするわけです。つまり数というのはどこまでも数えられる・・・ 1・2・3・・・・100・・・ そういったことを考えていくと幼稚園児にもできる「数える」という単純な概念ですらとたんに難しくなります。ラッセルのパラドックスなんて有名な矛盾も。 それはそれで面白いんですが私は専門化じゃないんで、詳しくはかけませんが機会があったら書きましょう。 あ、ちなみに自然数の数ってのはよく「可算個」とか「たかだか可算個」って言われます。せいぜい数えられるくらいしかない→たいした数じゃないって意味でよく使われます。 数学者にとって自然数の数なんてたいした数じゃないんですよ。 だからふざけてよくつかいます。どうせ高々可算個でしょ?って。 でもそれって無限の数があるんですけどねぇ~~ (追伸) この日記では一つの「ずる」をしています。それは 「子供という集まりがあるということ」 「そこから一人選べるということ」 を暗黙のうちに仮定してることです。つまり最初っから集合っていうのがあることを仮定して、そこから一人選べるというのを前提にしてるわけです。 これは感覚的に正しいと思えることだけど、数学を厳密にしたいと思ってる人たちには面白くないようで、そういう人たちは公理的集合論とかいうなにがなんだかわけわからんチンプンカンプンなことを考えています。選択公理とか、ツォルンの補題とか、ZF集合論とか・・・ そんなのものを考えはじめると時間がいくらあっても足りないので、上の2つの仮定はそんなもんだと納得しちゃったほうが幸せです。ええ。(結局ここで日よってしまうw)

Posted by issei

カテゴリ: 数学

コメント一覧

(^∀^;)・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・読むのは面白いんですがコメント出来ないです・・・わはは;;
ゴンゾー♪

いち、にぃ、さん……、じゅう。 ……たくさん♪ でOKw 数学って考え始めるとますますわからなくなりますね。
あむちぃ

情報工学だったので、授業は数学ばかりでした(^^;; (コンピュータなんてほとんどやりません。今はちがうみたいけど) ラッセルってなんだったっけなーと、ちょっとぐぐってみたらゲーテルにいくやつですね。そうするとZFもそのへんでは? でも大学にはいってよかったなぁと(算数的に)思ったのは、自然数には0が含まれること。理由はそのほうが都合がいいから。 # 宗派によって違うらしいですが・・・情報工学は数学の都合のいいとこだけ使う宗派?なので。 # 情報工学も option base 0 のほうが都合がいい
jack