二日目、ようやく下灘へ

翌朝、目を覚ますと外はまた土砂降りでした。

ホテルの窓からは、松山城の堀と路面電車が見えます。

線路を眺めていると、まっすぐ進むレールと途中で曲がるレールがある。

「あそこのポイント、まっすぐ行く電車を見ないよな?」

そんな話を息子としながら、しばらく路面電車を観察します。

遅めの朝食をホテルで済ませるころには、ありがたいことに雨も上がってきました。

ならば松山駅を目指そう。

徒歩で。

途中、大手町駅前にある松山名物、ダイヤモンドクロスに立ち寄ります。

伊予鉄道の郊外電車と路面電車の線路が、道路上でほぼ直角に交差する場所です。鉄道線と路面電車の軌道が直角に交わるのは、全国でもここだけなのだとか。

雨にぬれて黒く光るレール。

雨上がりのダイヤモンドクロスも美しい。

しばらく眺めてうっとりしたあと、JR松山駅へ向かいます。

電光掲示板を確認すると――。

9時45分発、伊予長浜経由の八幡浜行き。

動くぞ!

昨日は乗ることのできなかった海回りの普通列車です。時刻表上も、松山を9時45分に出発する八幡浜行きが設定されています。(NAVITIME)

ディーゼルカーは爆音を上げ、下灘を目指して走り始めました。

伊予市を過ぎると、列車はいよいよ海岸線へ。

昨日の土砂降りとは打って変わって、天気はまずまずです。車窓の向こうには瀬戸内海。

これだよ、これ。

やがて下灘駅が近づいてきました。

ところが、ホームを見ると大量の観光客がいる。

いや、今日月曜日だぜ?

朝からこんなにいるの?

ホームでは、オジオバの集団がこちらにカメラを向けています。列車の撮影に夢中で、周囲がまったく見えていない。

たまりかねた運転士が、怒りの警笛。

そりゃそうだ。

列車を降りたあとも、ツアーコンダクターが、

「下がってください!」

と声を上げているのですが、聞く耳を持たず前へ出て撮影するオジオバたち。

どうやら観光バスで来た団体ツアーらしい。

列車、乗らねえのかよ。

さて、予讃線の松山発普通列車は、おおむね内子回りと伊予長浜回りが交互に走っています。

そのため、海回りの伊予長浜方面へ向かう列車は、だいたい2時間に1本。

下灘で降りると、次の伊予長浜方面の列車は2時間後です。

それを息子に伝えると、

「そんなに待てるか!」

と言われました。

しゃーない。

1時間後に来る松山方面の列車で戻ることにします。

「2時間くらい、あっという間だろ」

と説得してみたのですが、まったく響かない。

オイラなら4時間くらい、駅でぼーっとしていられるんだけどなあ。

駅では、カップル、女子旅、撮り鉄など、さまざまな人たちが「映える写真」を求めて撮影会。

ホームの向こうに海が広がる風景は、たしかに絵になります。

そして1時間後、反対方向の列車がやってきました。

これに乗って松山方面へ戻ります。

ただし、そのまま松山駅までは戻りません。

伊予市駅で降り、すぐ近くの郡中港駅から伊予鉄道に乗り換えます。

別に乗り換える意味はない。

まあ、ただ……来た道をそのまま戻るのは、なんとなく乗り鉄の精神に反しているような気がするのです。

伊予鉄の電車では、車掌が笛を鳴らして扉を開け閉めしていました。

こういう光景も久しぶりです。

首都圏では、ありそうでなかなか見ない。

そんな昔ながらの鉄道風景を楽しみながら、松山市駅に到着。

つづく。

注)
プライバシー配慮のためAIを使用して一部写真を加工をしています。ご了承ください。

Posted by issei

Category : 旅行記